名誉館長の部屋

咲くやこの花館でのひととき(2)

2016.12.07

韓国国立生態院エコリウムから

2016年10日8日、大韓民国の中部、大田・忠清道に2013年12月に誕生した国立生態院より生物管理研究本部部長のPil-Yong Yunさんが同僚と3名で訪問されました。この生態院には生態体験館「エコリウム」という大温室があり、熱帯、砂漠、地中海地方、温帯、極地の植物が育てられています。また屋外は朝鮮半島の森、湿地、高山と環境別に分けられています。約100万㎡の敷地内には公表では絶滅危惧植物1000種を含む30000株、動物は240種、4200個体の生物が育てられています。Yong Yunさんは東北大学農学部へ留学されていただけに、専門用語も日本語でわかリ助かりました。1、2月の平均気温が6〜7℃低いので咲くやこの花館では露地栽培の地中海地方、温帯の植物が生態院では温室内で栽培されています。夏は生態院が約4℃低く露地で北朝鮮に近い雪岳山などの植物が育てられています。私も以前に淡路島で植物と鳥をバードケージで一緒にならないか調べたことがありますが、植物の数に対して鳥などが僅かでなければ難しいことがわかり、動植物を扱う生態院の状況には興味がありましたが、基本的には分離されているそうです。「エコリウム」には新しい技術が取り入れられています。窓枠内に冬は温水を夏は水を流すとエネルギーの節約ができるそうです。雨水利用、リサイクル木材を使ったバイオマスボイラーなど各所にエコシステムが使われています。当館ではバックヤードを含め植物、施設、設備をご覧いただきました。

国立生態院エコリウム
左2人目より国立生態院Yong Yun氏、同所職員

ロシアコマロフ植物園から

2016年10月18日14:30〜18:00ロシアのサンクトペテルブルグのコマロフ植物園より園長のDr.Vasily Yarmishko、副園長のYury Kaluginをはじめ7名+通訳1名が来館、滞在されました。2008,2013年に引き続き園長は職員を連れて情報収集などに回られていました。会議室で館のアウトラインから広報に至るまで解説をしました。質問時間を設けると、配布物の詳細から全体経費、人数、失礼ながらと言いながら給料まで事細かに一時間も聞かれました。暗くなるのが早いからと促して、本館に向かい熱帯雨林室からスタート、オオオニバスについても分類から入手先まで事細かに。コマロフでは冬期水温が低いので、一年草扱いで11月に種をまき暖かくなると温室内の大きな池で育てるそうです。因みにコマロフ植物園のあるサンクトペテルブルグは冬期マイナス30℃、夏30℃になるそうです。

 

ランコーナーでは2ヶ月後にランの展示会があるそうで、バルボフィルム・ファレノプシスの前では釘づけに、子株はないかとも聞かれたが持ち合わせがないとの返事しかできなかった。−30℃がラン栽培にとり不利な面が多い事も前回来館時同様の課題であった。日本ひいきでお茶も習っているという女性はシークワーサなどの柑橘を見ても「ダイダイ?」と質問が続きました。ストレリッチア・ニコラエの所ではロシアと関係のある植物だと説明を貰いました。確かにロシア皇帝に関連づいています。柑橘やサボテンが露地で育っているのには羨ましがられました。そして次回は自動車でと話されていたので、大きなトラックでどうぞと返しておきました。ある女性はサボテン科の一種を探しています。そして高山植物室ではヒマラヤ、チベット、雲南から集めた多種類のシャクナゲに深い関心の方も、一種ずつ名前を控えています。次にバックヤードへ、多数の植物に行く手が阻まれます。アジサイ類の挿し木穂を希望され穂を持ち帰られました。高山植物の周年開花、ゲッカビジンなどの夜間開花から昼咲きへの開花調節など理屈では分かっていてもなかなか実現できない施設も見てもらう。クルメツツジ、ボタン、シャクヤクなどの入手法も尋ねられる。やがて暗くなったバックヤードから事務所に戻りミラクルフルーツとレモンでその効果を試してもらいました。次回はコマロフでと皆さんとお別れをしました。ここが気に入ったと園長、副園長は再度職員をつれて訪ねてくれました。

コマロフ植物園
コマロフ植物園園長Dr.V.Yarmishko(中央青いシャツ) 

東京から栗原小巻さまが

11月30日午後、栗原様から連絡、何年ぶりでしょうかそこには栗原小巻様の姿が、握手で始まった館内案内と近況報告、兵庫みどり公社での会で10年前に一緒に委員として仕事をさせていただいてましたが、お忙しい中訪ねて下さいました。これから3週間は奈良、和歌山、神戸、姫路など各地で講演会があるそうです。その姿からベニヒモノキと呼ばれる植物の前で記念撮影、アガベ、キソウテンガイ、サボテンに似たユーホルビア、バオバブ、キフォステンマ、コマクサ、シクラメンなど興味深い植物をご案内しました。バックヤードについても世界でも珍しい開花調整をはじめ大事な機能をご紹介しました。事務所でも休憩をしていただきました。栗原様はロシア、中国でもご活躍の国際的な方なので、先日もロシア最大のコマロフ植物園から園長をはじめ7人の職員が3度目の訪問をされた事をお伝えすると、またロシアには行かれるとのことでした。今では兵庫県での花の委員会はなくなりましたが、千葉県の「花の生産舎」で現在はお手伝いされる事もあるそうです。今日もいま頃はファンのみなさんに囲まれて、美しい花のように持ち前のオーラで幸せを配られていることでしょう。

栗原小巻様

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