名誉館長の部屋

あの伝説の植物、マンドラゴラが夫婦で開花

2018.03.03

聖書の創世記30章14-5節や雅歌7章13節に「恋なす」の名で登場するマンドラゴラ(英語:マンドレイク)は中近東から地中海地方で古くより媚薬として知られていました。そしてK.ローリング作の『ハリーポッター』では、魔法学校での妙薬の精製に必要とされました。また、マンドラゴラを引き抜ぬくのは根が張り困難で、人の形をした根を採集する際に根が悲鳴を発し、これを聞いた人は死んでしまうという伝説があります。イヌを犠牲に引き抜く挿絵も残っています。もう10年以上前のTV番組「探偵ナイトスクープ」ではこの植物を引き抜きたい希望者があり、私はこの植物の探し役に仕立てられました。当館から薬草園などに連絡、最後に友人宅にあり、マンドラゴラは恐る恐る引き抜かれましたが、幸い犠牲者は出ませんでした。この欧州で長く話題になってきたナス科植物、地中海地方に2種、ヒマラヤ周辺に1種見られます。春に開花するマンドラゴラ・オフィキナルム(Mandragora officinarum)は男性、秋に開花するマンドラゴラ・アウツムナリス(Mandragora autumnalis)は女性とされ英語ではウーマンドレイクと呼ばれます。3月2日現在、この2種が開花しています。見るだけでは安全なので念のために申し添えます。

 

根が人の姿をした猛毒植物

マンドラゴラ・オフィキナルム
マンドラゴラ・アウツムナリス
マンドラゴラ・オフィキナルムの根、人の姿に見えることも

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