咲くやこの花館では代表的な高山植物や山野草を本来の開花時期以外にもご覧いただけるように開花させています。コマク サ、クロユリ、プリムラ・デンティキュラタやミチノクコザクラなどサクラソウ類、メコノプシス(青いケシの仲間)、ウスユキソウ類、セイヨウオキナグサ、 チャボリンドウなどは一年中開花をさせるように努めています。
原理は雪解けとともに開花をする春咲種を、−3〜−5℃の冷凍庫に保存します。これを花の少ない時 期に開花さすために5月中旬〜2月中旬の間15日毎に冷凍庫から植物を出しては、ファイトトロンという植物栽培用の大型のケースで温度や明るさを管理しま す。昼温を7℃→12℃→15℃と順に上昇させます。
種類により解凍開始から開花まで期間が異なります。例えばサクラソウ類でもプリムラ・デンティキュラタやプ・ロセアでは3週間程度で開花しますが、ク リンソウでは3ヶ月程度かかり大きく違います。開花調整用の植物は1〜2月に上手く凍らせて保管をします。計画に従って18回分に鉢を分けて、完全密封を した上で冷凍庫に入れる、その作業が1月29日から始まり2月1日に終了しました。
1年分5500鉢の冷凍植物は順番が来るまで休眠です。これで一年分が揃い一安心と言いたいですが、私自身阪神大震災に被災して長い停電にあっただけに、とりあえず一安心です。このような開花調整は海外では聞いた事がありません。国内では栃木県真岡市井頭公園(いがしら)の高山植物館では青いケシなどを年中開花させています。井頭公園のスタッフは当館で研修をされたり私も工事中から何度か足を運びました。植物園は小規模ですが、熱帯鳥や熱帯蝶も飼育され楽しい場所です。