名誉館長の部屋

サンクトペテルブルクより植物学者が来館されました

2013.03.18

yukoyama2013年3月11日にロシア最大の植物園でもあるコマロフ植物学研究所のサンクトペテルブルク植物園より、4名の研究者、栽培者の皆さんが来館されました。なお、当館には、2008年にもスミルノフ園長が来館されたことがあります。
今回は筑波や京都の植物園を経て「牡丹」で有名な島根県大根島に向かう前に訪問いただきました。サンクトペテルブルク植物園は来年で開園300周年記念を 迎えられるそうです。1ヘクタールの温室だけで6500種の植物が育てられている大きな植物園です。
マイナス40℃にもなる土地柄だけあり、リュウノヒゲなど日本では露地植えで栽培する植物も温室で植栽されているそうです。現在では、立派な日本庭園もで き、日本産の植物充実にも努められています。先方の譲り受けたい希望植物リストに「マツムラソウ」、「トガクシソウ」など日本原産からオーストラリア原産 のケファローツス、熱帯産のオバケコンニャク類、アラマンダなども含まれていました。当館にとロシア産シャクヤク類、そしてアリストロキアなどの穂をいた だきました。シダの研究者の方は、今回日本から「リュウビンタイ」が持ち帰えることができ、「今日はクリスマスのようだ」と喜ばれていました。この気持ち は、国内外で私もよく経験するので共感できます。咲くやこの花館の植物のひとつひとつにも学名、産地などの他に履歴書のようにその植物の大阪にやって来る までの物語があるのです。
ロシア科学アカデミー附属V.L.コマロフ記念植物学研究所所長のProf. V. T. Yarmishko氏、サンクトペテルブルク植物園副園長Prof.E.M.Arnautova氏は、植物に詳しく全ての植物をラテン名(学名)でコミュ ニケーションがはかることができ、ロシア語の分からない私にとって大変助かりました。若い時に悩まされていたラテン語や便利な二名法をスウェーデンのリンネが考案してくれていた事に本当に感謝します。

ロシアでの温室管理は、極寒なのでエネルギーの消費が大きく、設備の維持が大変である事、夏は白夜、冬は3時間の日照しかないなど、ランを元気に育て るのは難しい環境であることなどの苦労をお話くださいました。そういったことから、当館で多種類のランが展示されているのを見学され羨ましがられました。 そんな環境のなかそれでもランのファンは年々増加し、サンクトペテルブルク植物園のラン展では連日3〜4000人の入館者を迎えられるそうです。
昼食抜きの5時間あまりの館内と一部栽培棟視察ではありましたが、一行は時間が足りなくて心残りの様子でした。通訳のZorina Aksiniaさんの指示に従い急ぎ足で、次の目的地へと移動されました。300周年記念にはロシアで再会できたらとお別れました。

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