名誉館長の部屋

日本植物園協会のシンポジウムが宝塚で開催されました

2013.07.24

温室_l日本植物園協会は、 全国の植物園約110園からなる組織で、植物の保全をテーマにしてシンポジウムも8回開催してきました。第9回の今回は「見つけよう植物園の魅力」という タイトルで7月20日にソリオホール(宝塚市)で開催されました。会場は250名あまりで賑やかな雰囲気で始まりました。 元植物園協会会長、兵庫県立人と自然の博物館名誉館長の岩槻邦男先生の植物園の役割の話、水戸市植物公園園 長西川綾子さんの植物園や廃墟化したイングリッシュガーデンをボランティアパワーで充実させたり、再生させたりの苦労話、国立科学博物館植物研究部研究員 の奥山雄大さんの植物を正しく見るには受粉を助けてくれる蛾などの生物との共生をはじめとした生物界、自然を把握して初めて可能となるお話、「宝塚植物園 を未来につなげる会」の代表の山住一郎さんの植物の大切さや宝塚植物園の歴史といった懐かしい話で盛り上がりました。私も講演をさせてきただき、植物の世 界での宝塚の重要性や人気性を強調しました。

 新聞記事_l私 は55年前に宝塚植物園内の昆虫館で学芸員の福貴氏に昆虫の生態を教わり、48年前には植物園の栽培場で植物園の仕事を教えていただいたりと、勉強の場所 であっただけに、小林一三(阪急阪神東宝グループの創業者)氏の考案された文化のある場所には感謝してきました。 宝塚植物園の洒落た形の温室は、1928年に構築、以降改修されたものと、ポール スミザー氏作庭のイングリッシュガーデンが現在楽しめます。1947年 に日本植物園協会の創立総会を同園で開催、その時に記念植樹されたチャボトウジュウロウが健在です。ところが2013年12月にガーデンフィールズ閉園と 阪急阪神ホールディングスが発表してから数団体が宝塚市にガーデンフィールズの存続の希望をはじめ、購入の嘆願するという事態になりました。  歴史的にも近隣の宝塚市山本では、江戸時代以前から、植木屋が軒を連ね、今でも、100戸以上が園芸関係という日本でも珍しい植物のまちです。咲くやこ の花館もこのまちのサポートを受けています。  シンポジウムには中川智子市長や新聞記者の方、各地の植物園関係者にもご参加いただきました。何より経営能力が要求されますが、この会が小林一三氏が築 きあげ、残した文化の一部でもある民間初の植物園が跡形も無くなるのを阻止し、継承していくことが大切だと思います。  植物のまちを基軸として全国に園芸文化を伝え紹介する場所として、少しでも植物を愛する人が増えるきっかけとなることを願いたいものです。

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