名誉館長の部屋

アジサイは日本の誇り

2016.06.08

咲くやこの花館では高山植物室やフラワーホールに野生のアジサイが登場、6月11日(土)、12日(日)には「ギボウシ・ヤマアジサイ・山野草展」が開催されます。11日には咲くや塾やワークショップもあります。(詳細はイベント情報)

アジサイ類は学名をハイドランジア<ヒドランジア>(Hydrangea)といい、日本、朝鮮半島、中国、ヒマラヤ、インドネシア、アメリカなどに70〜75種分布しています。最近よく目につくカシワバアジサイ(H.quercifolia), アナベル(H.arborescens’ Annabelle’)などはアメリカ原産です。

日本には14種、1亜種、6変種が見られ、ブルーの美しい花3種は全て日本に自生しています。ガクアジサイ(H.macrophylla f.normalis)は静岡県などの海辺に見られ、殆どが装飾花のものをアジサイ(ホンアジサイH.macrophylla var.macrophylla)と呼び便宜上区別、シーボルトが欧州に持ち帰ったのは有名です(持ち帰り品の由来や学名の扱いには不明点もあります)。これらが品種改良され、日本に里帰りしてセイヨウアジサイ(H.macrophylla f. hortensia)と呼ばれています。日本原産のギボウシが品種改良され里帰りしているのに似ています。一方関東以西、朝鮮半島などにはヤマアジサイ(H.serrata)が分布、素朴な美しさから山野草、茶花愛好者などに人気があり、最近でも四国、九州で新しい変異株が見つかっています。その品種は800以上に及びガクアジサイとヤマアジサイとの自然交雑品もあります。伝統園芸植物として江戸時代以来愛好されています。もう一つはエゾアジサイ(H.serrata var.megacarpa)で北日本に見られます。

現在日本ではセイヨウアジサイ系の派手な品種、芸術的なものの育種が進む一方で、侘び寂びの世界に通じるヤマアジサイ、ガクアジサイなどの系統の栽培も盛んになってきました。英国など海外から見ると日本は豊富な野生植物の国でしかも豊富な園芸植物の国に見えます。ぜひ日本の良さをお楽しみ下さい。

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    ヤマアジサイ「海峡」(韓国済州島産)

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    ヤマアジサイx エゾヤマアジサイ「美方八重」(兵庫県美方町鉢伏山産)

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    ヤマアジサイ「胡蝶の舞」(兵庫県扇ノ山産)

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    ヤマアジサイ「京雪花」(京都府美山町産)

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    ヤマアジサイ「隅田の花火」(1977年横浜市の民家で発見)

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    ヤマアジサイ「京の舞姫」(京都府産)

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