名誉館長の部屋

フニーバオバブ今年は咲きそうです

2016.08.05

IMG_6948

2006年より当館で夏の夜をその花で賑わしてくれているマダガスカル原産のフニーバオバブが今年は咲いてくれそうです。2014,15年と蕾は着いたものの落蕾をみたバオバブ、8月5日現在18個の蕾がついています。蕾の長さは9-3cmで、早いもので8月8〜10日頃、その他はお盆中には開花をするでしょう。夜間の観察をご希望の方はこのHPの案内をご覧いただき登録をお願いいたします。また、観察会では夜に変化のあるその他の植物紹介ツアーも開催します。その植物のリストは下段に添付しております。花については当日咲かないケースもありますのでご了承下さい。

2016 Summer 夏の夜に見たい植物たち

*フニーバオバブAdansonia rubrostipa(=fony)

<乾燥地植物室>アオイ科(旧:パンヤ/キワタ科)原産地:マダガスカル

バオバブはアフリカ本土に1種アフリカバオバブAdansonia digitataが見られます。『星の王子さま』(サン=テグジュペリ著)に登場するバオバブは地理的に本種を指すでしょう。またマダガスカルはバオバブの中心地で6種分布しています。そしてオーストラリアに1種アダンソニア・ギボサ=グレーゴリーA.gibbosagregorii}が見られます。この3地域は一億数千年前に南半球に存在した大きなゴンドアナ大陸にあり、後にアフリカ、オーストラリア、南極、南米、インド半島に分離しました。バオバブはマダガスカル付近で誕生、他の場所に徐々に移動したとされます。 

当館のフニーバオバブは日本に1本しかない開花株ですが、進化生物学研究所理事長で東京農業大学教授の近藤典夫先生(故人)が1988年にマダガスカルから導入されたものです。2006年から開花が始まりました。8月上旬の19時30分頃から開花しますが、その時期、時間は毎年大きくはかわっていません。長さ約15cmのソーセージ状の蕾は先端から割れ、やがて雄しべ、雌しべがあらわれ花粉を散らしながらハイビスカス(アオイ科)のような花を咲かせます。その間の20~30分は花が咲きながら動いているのが分かり神秘的な光景となります。夜開花した花は翌日、翌々日の午前中まで傷みはでますがご覧いただけます。バオバブの花粉搬送者はスズメガ類や夜行性のレムールとされています。

当館のフニーバオバブの年齢は正確には分かりませんが、日本での成長ぶりと現地での成長の遅さを考慮すると80歳以上と思われます。

バオバブは『星の王子さま』では地球をつぶす悪者に見えますが、実は役立つ植物として現地では親しまれています。葉は乾燥させてマリ料理に、種子(正しくはパルプ上の種衣)はラムネ菓子の味、樹皮は剥がすと屋根や壁の材料に(バオバブの表皮は再生します)、樹皮繊維からロープや籠が作られます。

 

1 サガリバナ  Barringtonia racemosa   

<熱帯雨林植物室> サガリバナ科 原産地:奄美以南、東南アジア

マングローブや川に沿って生える事が多いようです。夕方5時頃から花を開花させます。西表島では夜の開花、早朝の川に浮かぶ花見が楽しまれています。

 

2 ニンファエア・ルブラ及び同種系品種 Nymphaea rubra&cv.

<ロータスガーデン> スイレン科  野生品原産地:インド 

赤花の熱帯スイレンで夜咲です。他の熱帯スイレンが夜花を閉じるのに対して、昼閉じて夜開花します。原産地での花粉媒介が夜行性昆虫により行われます。 

 

3 オオオニバス、パラグアイオニバス Victoria amazonica,V.cruziana

<ロータスガーデン、前池> スイレン科  原産地:南米 

夕方良い香りを出して開花します。原産地では甘い香りでスジコガネのような昆虫を誘い、一晩目は花に閉じ込め花粉まみれにして他の花に花粉を運んで貰います。また、系統的に離れた株の花粉を運んできて貰い種子を実らせます。2日目夕方には花はピンクがかり、3日目には傷んでしまいます。

 

4 ミズオジギソウ Neptunia oleracea

<ロータスガーデン> マメ科 原産地:世界の熱帯 

葉に触れたり夜になると葉を閉じます。閉じるのは動物などの食害を防止する働きがあります。オジギソウMimosa pudica に似て水の中で育つところからミズオジギソウの名前があります。またカイジンソウ(海神草)とも呼ばれます。東南アジアでは野菜として扱われます。葉の葉沈部分の細胞の膨圧の変化で閉じます。

 

5 カラテア・ピクツラタ Calathea picturata

<熱帯雨林植物室> クズウコン科 原産地:ブラジル 

夜間には葉が立ち体積を小さくして夜行性動物などからまもり、食害を防ぎます。

 

6 ヤコウカ Cestrum nocturnum

<熱帯花木室> ナス科 原産地:西インド諸島 

花は夜に良く匂います。当館の株は19時15分以降です。ヤコウカ(夜香花)やヤコウボク(夜香木)の名前で有名。混同されるのがイエライシャン(夜来香)です。

 

7 トンキンカズラ(イエライシャン) Telosma cordata

IMG_6973

<熱帯花木室> ガガイモ科 原産地:インドシナ〜インド

つる性植物で、葉の脇に1個ずつ茶色がかった黄色の花をつけます。昼間も少し香りますが、夜にはユリにも似た上品な香りが強くなります。

英名は原産地トンキンに因みトンキンジャヤスミンです。和名は東京葛で中国名は夜来香(イエライシャン)、中国名の月下香(チューベロース)と混同されているケースもあります。日本人歌手山口淑子(李香蘭)の歌で有名になった植物です。タイではイエライシャンの蕾を「ドークカジョン」といい、食用にします。

 

8 カラスウリ  Trichosanthes cucumeroides,

<外部> ウリ科 原産地:日本、中国

つる性の植物で木などにからみます。秋には美しいオレンジ~赤の実がつきます。夏には白の繊細な花を咲かせますが、雌雄異株で雌花の方が立派です。この株は雌株です。冬には地上部は枯れ、長さ10cm以上になる塊根ができます。黄色の実のなるキカラスウリの塊根のでんぷんから天花粉(てんかふん)ができます。

 

9 クレロデンドルム・インシスム・マクロシフォン Clerodendrum incisum var.macrosiphon

<熱帯雨林室> シソ科(旧:クマツヅラ科) 原産地 熱帯アフリカ

高さ約1.5mの樹木で花は筒状で雄しべが赤く目立ちます。蕾は夜間に開き、音符のように見えるところからミュージカルノート(音符)の英名をもちます。

 

10 イボタクサギ Clerodendrum inerme

<熱帯雨林室>シソ科(旧:クマツヅラ科) 原産地 南西諸島、台湾、中国南部、東南アジア、熱帯の海岸近くなどに見られ筒状の白い花を咲かせます。

11 キンコウボク、チャンパカ Michelia champaca

<熱帯雨林室>モクレン科  原産地 ヒマラヤ

カラタネオガタマ(トウオガタマ)の仲間で、花は黄色で良い香りがあります。夜になると強くにおいます。東南アジアではよく親しまれており、寺院や室内でその香が使われます。

 

*上記の植物は常に開花しているものではなくご覧いただけないケースもございます。

一覧へ戻る