名誉館長の部屋

植物の色

2017.04.28

                                      オオオニバス2日目の花

植物を観賞するのに大切な要素のひとつに色があります。人は花を愛で花見をしたり時には詩を詠んだりします。あの目に安らぎを与えてくれる花色は、虫や鳥など花粉を運んでくれる生き物とつながっており、決して人とはつながっていません。タンポポの花を紫外線カメラで撮影すると、黄色一色のはずの花が蜜のある中央部分だけ周辺部と色が違って見えます。ハチにとっては紫外線、白、黄は見えますが。赤は不得意なようです。当館でも咲いているヒスイカズラ、この翡翠色は昆虫や鳥の好む色ではなく夜行性のコウモリが原産地のフィリピンでは訪れ、受粉を助けます。マダガスカルのタビビトノキの種子はコバルトブルーの繊維質のもので覆われています。これは花ではありませんが、マダガスカルではレムールというキツネザルの仲間が種子に興味をもちます。タビビトノキに近縁の南アのゴクラクチョウカ(ストレリッチア)の場合はオレンジ色の種子で鳥が好んで運んでくれます。

 

オオオニバスは話題の多い水草です。日が落ちる頃に咲き始めます。白の美しい花ですが、植物には白の色素はほとんどなく、花弁中の気泡が反射して白く見えます。白い花にはフラボノイドという無色の色素が含まれ、人には見えませんが紫外線域の光を反射するので昆虫にはよく見えます。オオオニバスの1日目の開花時にはバニラのような良い香りがします。これに誘われたスジコガネモドキは蜜を吸いに中にはいります。そして一晩中にとじこめられますが、その際に他のDNAの株の花粉を雌しべに運びます。ただその時点では訪問した先の花粉は壁に覆われていて虫にはつきません。一日遅れて壁は動き花粉が現れてきてスジコガネモドキの体につきます。この花粉は他の株に運ばれて行き、自家受粉しない形になっています。2日目の花は赤に変化、やや虫の嫌いな色に変化します。

このように生物同士がお互いの繁殖など生きのびていくのに都合の良い形に進化していくことを共進化いいます。

今回、生物の色についても朝日放送の『ワンダーアース」で取り上げられることになりました。1年に一度の番組で、前回の当館での取材は2014年でした。放送日は2017年4月29日14:00-17:30です。

ヒスイカズラはコウモリにより受粉を助けて貰う

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