名誉館長の部屋

大阪で日本植物園協会の総会などが開催されます

2017.06.07

咲くやこの花館のホームページがリニューアルされておよそ2ケ月になります。開花情報は季節ごとにまとめて見やすくなったと思いますが、担当者と共に種類数を増す作業も進めています。

また、咲くやこの花館のビデオが近日中に完成、このHP やYouTubeにUPされます。咲くやこの花館をシラサギが見て回るビデオをお楽しみに。

トロピカルフルーツ展、大阪ばら祭が終わり、ハワイ関係の催し物が進行中、ヤマアジサイとギボウシ展、ティランジア展、そして虫を食べる植物展や夏休みの催し物へと続きます。詳細はこのHPのTopics7-12月を御覧ください。6月7-9日に日本植物園協会の総会、研究会そして当館などへの見学会などがあります。メイン会場は大阪市立大学です。また、引き続き大阪市立大学国際学術シンポジウム「人と自然の共生」が10日に市大で、11日には大阪市立自然史博物館で開催されます。世界各地の研究者などが集合しますが、11日には咲くやこの花館の役割などを含め「植物多様性:都市植物園の役割」(The Indispensable Biodiversity: Responsibility of Botanic Garden in the City)をお話します。

咲くやこの花館では、館内では多数のカトレア・パープラタ、サボテン類、ヤマアジサイの変異品などが、またプチイングリッシュガーデンでは宿根草、バラが咲いています。バラの中に「イエロージョナサン」と呼ぶ黄色の品種が長く楽しませてくれました。

「ジョナサン」で思い出すのが、4月に英国王立園芸協会(RHS)のウイズリー植物園からやってきた.ジョナサンとカラム君、二人とも22歳のスチューデントガーデナーと呼ばれる研修生です。RHSはチェルシーフラワーショーの開催者で有名ですが、エリザベス女王が総裁をされている、会員が40万人を越える園芸組織です。この植物園ではRHS Bursaryと呼ぶ奨学金制度があり、植物や園芸の調査、トレーニングに対してサポートされるもので2人はこの制度を利用して来日しました。2010年に英国のナショナルガーデンをサポートしてきたElspech Thompson氏死去のメモリアルとして寄付金が提供され始まったそうです。ウイズリー植物園の前園長のガーデナー氏とは講演会開催で当館に来て貰うなどの交流があり二人の若者を私に委ねたのです。咲くやこの花館で、植物展示、栽培そして運営方法、広報などの情報をお話しました。また一日は、日本の自生植物を知ってもらうために、京都府の小塩山を案内、カタクリ、エンレイソウ、ウグイスカグラ、カンアオイ、ヤブツバキ、イワナシなどを紹介しました。そして、ウイズレー植物園用にさく葉標本を何点か作成しました。45年前に王立キュー植物園でスチューデントガーデナーであった私にとって、今のスチューデントはどのような生活、学習をしているのか興味津々でした。小塩山のフィールドを行くと、キブシが美しく花を着けていました。Stachyurus praecoxとさっと名前を言われました。ウグイスカグラはLoniceraでと即答、どうやって覚えたか、それは昔からの英国の植物園でのトレーニング、剪定された枝や花が並べられた名当てクイズ、学名と科名を正確に答えるテストがあり、彼らは2週間毎に40種を覚えていくのがノルマだそうです。

山からの帰り道に ’hori hori knife’がほしいと言い出しました。Made in Japanで欧州では有名な園芸道具だそうです。品揃いの良いホームセンターで見つけました。ステンレス製の根掘りのようなもので、周囲には歯がありのこぎり、そしてショベルの役もします。一つで多くの用途に使えるので誰もが使っているそうです。また剪定ハサミも日本製が最高で数点の園芸用具を二人とも買い求め、満面に笑みを、英国の半分以下の価格だということです。彼らの迎えの際にアコモデーションが分かりにくく、探し当てるとマンションの一室が宿舎でした。リーズナブルプライスだったそうです。しっかりと学び、身の丈に合った生活をしている研修生の気質は昔のままでした。

写真 プチイングリッシュガーデンとバラ「イエロージョナサン」(2017年5月)

 

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