名誉館長の部屋

英国人と高山、亜高山の植物の自生状態づくり

2017.06.28

蓼科バラクラフラワーショー(6月22日~26日)は、ちょうど咲き始めたバラ、エルムルスなど普段はお目にかかれない花々、招かれた英国人によるバグパイプ、ハープ、そしてハルゼミのせみ時雨、そしてふわふわと舞うウスバシロチョウなど様々な歓迎を受けます。そして長年一緒に仕事をしてきた代表者の山田祐人さん、ケイ山田さん、靍谷氏など、到着するとホットします。フラワーショーの最終日午前に「英国園芸の世界」のレクチャーを行いました。その中には英国の影響を受けたバラクライングリッシュガーデンそして咲くやこの花館のイングリッシュガーデンも含まれていました。そして午後から「手軽に楽しめるアルパイン(高山植物)&多肉植物のコンテナー」と称し、英国人ジム キーリング氏と寄せ植えデモンストレーションを行うことになりました。英国王室への御用達をはじめ同国の園芸用の上質の鉢といえばWhichford Potteryといわれるほど有名な鉢製造をされているジム キーリング氏はこの会社の代表者です。オックスフォード大学卒のインテリらしさはその発想力の豊かさに表れています。氏とコンテナガーデン風の箱庭を造ることになりました。90cm四方の木製の箱をコンテナーまたはトロウ(トラフ)に見たてました。氏はその箱に高山のコマクサの生える頂上付近から、針葉樹の群生する亜高山帯、そして池のある湿地までを表現しようとしました。しかしコケを亜高山帯に使おうとしたので、直射日光下では難しいのでと語ると、なるほどと氏は別のコンテナーでコケのあるガーデンづくりに没頭、私の高山帯づくりとコンペのようになり、お互いに何度も会い気心がしれているだけに、100人以上のギャラリーの心配をものともせず予定時間+αで完成しました。

和やかな雰囲気の中で,夕刻には参加者によるアルパインまたは多肉植物の寄せ植えの持ち帰り用体験実技講座も行い、優秀な作品を私たちが選び賞も授与されました。なかなか楽しい企画で、植物の準備から最後まで加わりやりがいのあるものでした。参加者は大阪、徳島、東京など各地から、また近隣の冬にはマイナス25℃にまでなる山岳部の方まで、それぞれの地域に合った山野草を選んであげました。咲くやこの花館にも行きたいとの声が続々と聞かれました。バラクラの代表者山田祐人氏とも2018年1月の阪急梅田店でのフラワーショーについても打ち合わせました。阪急百貨店ももっと拡大して開催したい意向で、咲くやこの花館と一緒にできたらとのこと。花と緑のアピールできる関西での拠点としての夢を熱く語り合いました。そして何時ものように八ヶ岳山中を巡り、今回は時間の関係で3千mの高山植物には挨拶ができませんでしたが、オサバグサ、クリンソウ、レンゲツツジなどを楽しみ、いつも暖かく、本物を目指している方々と別れを告げ帰途につきました

 

 

WhichfordのJimさん(芦屋市でのポットづくりのデモ、英国の陶芸の技術と日本の備前焼の材料との出会い 2013年)

 

 

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