10月16日に大阪市役所にベトナム社会主義共和国ホーチミン市人民委員会副委員長ご一行9名が表敬訪問をされました。大阪市側は田中副市長ほか環境・建設・都市計画・水道・経済戦略局長等が迎えられました。レ ヴァン コア ホーチミン市人民委員会副委員長からは大阪市の都市管理についてのノウハウの期待、そしてホーチミンだけで日本料理店が500軒あるなどの話題のあとに今回持参のハスの種子が両国の友好関係のシンボルとなるようにとの願いを込めて熱く語られました。
私も同席させて頂きました、副委員長そして副市長から赤く塗られた箱を渡されました。よく見るとアオヤイ(アオザイ)姿の女性が描かれ、箱の中からは丁寧に刺しゅうが施された袋が、その中にはベトナムの国花でもあるハスの種子が詰まっていました。手渡されたファイルには、ベトナムでの植物防疫所の検査証明書と、現地での開花状況の分かる写真が添えられていました。花は弁が幅広く立派なものでした。ハスの種子の発芽を促すにはアサガオと同じ硬実なのでやすりかペーパーで水を吸いやすくします。すると短時間で活動を始めます。逆に粘土などで被われると何十年、時には何百年と休眠を続けます。
ところでホーチミンの平均気温は年中25℃以上です。ベトナムでは蓮茶が知られハスの雄しべで茶葉に香りづけをします。蓮花茶、蓮葉茶、蓮芯茶(実の芯)などがあり身近な存在になっています。蓮の実や花茎は食用によく使われますが、蓮根は高級品であまり使われないようです。ハス(Nelumbo nucifera)はロシア、中国国境を流れるアームル川(黒竜江)流域から中国、インド、そしてオーストラリアに分布します。分布域が広いので、冬に寒くなる地域では休眠期に蓮根をつくりますが、年中暖かい地域では常緑で、蓮根とは言えない細い地下茎となります。咲くやこの花館ではオーストラリアの常緑性のものを、年中水温が27℃以上あるロータスガーデンで栽培しています。ホーチミン産もここで栽培予定です。日本各地で、中国などで栽培されている落葉性のものは200品種以上を所有、夏の展示期間以外はバックヤードで栽培しています。こちらの増殖は種子ではなく、蓮根を割ることで、同じクローンを保ちます。種子繁殖とは違いハイブリット化を防止します。さて今回のベトナム産はどんな性質を持っているのでしょうか、楽しみです。