名誉館長の部屋

咲くやのクリスマス

2017.12.04

11月28日から「あなたはまだほんとうのクリスマスを知らない」―植物でたどるクリスマス―が始まりました。このタイトルのようにクリスマスを調べていくと断定ができない事柄が多く、イエスキリストのベツレヘムでの生誕を祝うという核心部分は聖書の記述などによりますが、背後には冬至祭などイエス誕生以前からある民俗信仰が見え隠れします。植物の側からたぐれば、生誕のお祝いに三人の賢者が持参した、3種の宝物のうちモツヤク(没薬)、ニュウコウ(乳香)は紀元前6000年頃の古代エジプトでは神に捧げられていたようで、クリスマスが出番になるモミ、トウヒは古代の樹木信仰で冬至の魔除けとして家に飾られ、古代ローマではセイヨウヒイラギが豊神祭で使われ、ヤドリギは北欧神話で宿主の樹木と共に崇められ、古くからの信仰の対象となってきたものとキリスト教やイベント的なものが入り交じり現在まで続いてきたと言えるようです。一方ポインセチアは戦後原産地のメキシコからアメリカに伝わり、クリスマスカラーの苞と葉が美しく、改良され広がりました。今では日本で育種されたプリンセチアがアメリカに紹介されるようにもなりました。終戦から1971年のオイルショック迄神戸がクリスマスデコレーションの世界一の輸出量を誇っていたそうです。1930年以降コカコーラのコマーシャルで定番になったという説がある現在のスタイルのサンタクロース、日本では1872年(明治25年)に築地の教会に侍姿のサンタが、1878年の日曜学校の教材には今のサンタに近い三太(田)九郎が登場しています。昔スウェーデンで驚かされたのはサンタがこびとのトムテであること、最近の阪急百貨店梅田本店のショーケースはこちらのコビトタイプに移行しています。
 当館ではクリスマスにまつわる種々の植物そしてスウェーデン、ドイツ、ハワイ、メキシコのツリーやフィリピンのパロルをはじめ、乳香、没薬紹介のライブ(1日3回)、そしてクリスマスの謎がとけるクリスマスラリーが楽しめます。期間中は暖かな会場で軽食やドリンクも楽しめます。また、ワークショップ、クリスマスコンサート、ナイトガーデンが楽しめる日もあります。ぜひお立ち寄りください。
 なお、12月5日7:50頃 NHK「おはよう関西」で当館のクリスマス会場の様子が中継放送される予定です。

クリスマスの展示風景

クリスマスにまつわる植物のライブ解説
スウェーデン、ドイツのクリスマスツリー
北欧のクリスマス用ヒンメリーづくり(12月3日好評で定員に達しました)

クリスマスの展示風景

クリスマスポマンダーづくり(12月2日好評で定員に達しました)

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