名誉館長の部屋

新年あけましておめでとうございます。

2018.01.03

2018年が素晴らしい年であることをお祈りいたします。

咲くやこの花館では、1月5日より新春らしい雰囲気の中で世界の花々をお楽しみいただけます。昔ながらのお正月玩具で遊べるコーナーは5日~14日(日)まで。6~8日には申年ではありませんが、神戸モンキーズ劇場のニホンザルがお目見え、べっこう飴細工の風景も楽しめます。咲くや茶屋、丹波の物産展と盛り沢山です。

5~14日は植物園ならではの縁起の良い植物探しのラリー、それに飛躍的な一年を願いホールではハネフクベやソリザヤノキの種子を約20mの上部から飛ばします。(毎日11:40~、13:40~、15:40~)この2種の植物を紹介しますと、ハネフクベ(アルソミトラ・マクロカルパAlsomitra macrocarpa)はインドネシアに分布するウリ科の蔓植物です。雌雄異株で雌株には子供の頭より大きい果実がつき、その中には羽根のついた種子が多いと数百枚、きちっと積んだように収納されています。一方が開いているので、風が吹くと一枚ずつ蔓が絡んだ樹上から飛行していきます。一枚ずつ個性的な飛行をしますが、その結果種子がうまく分散して無駄な競争を避けています。興味深い植物ですが、種子を播く段階で雌雄がはっきりしないのは大きくなる蔓植物だけに辛いところがあり、性別の分かった個体の蔓をさし芽などで増殖して導入するなど方法の検討が必要です。資料によるとハネフクベの種子の滑空比は4:1で1m落下、4m滑空するそうで、この原理の論文を見つけたボヘミアのエトリッヒ父子が飛行機に応用したそうです。彼らは1909年にエンジン付きのアルソミトラ型飛行機を制作しています。1910年に飛行に成功させています。第一次大戦の初期には、ボヘミアおよびドイツの軍用機(主に偵察機)として盛んに用いられたそうです。

もう一種、種子を分散のために興味深い飛行をする植物はソリザヤノキ(オロキシルム・インディクムOroxylum indicum)です。高さ5-13mのノウゼンカズラ科に属する落葉樹で、東南アジア、インド、ヒマラヤ山麓に分布、ブータンでも見られるそうです。私は長さ40~120cmある莢の仕組みを知りたくて、当館のチーク材の椅子やテーブルなどをタイから輸入している方から譲り受けていました。昨年フォトコンテストの審査で訪れたヒマラヤ~雲南省の植物の研究者の吉田外司夫氏のお宅の玄関に同じ莢が飾られていました。こちらはブータンのもので、ヒマラヤ周辺では家の御守にソリザヤノキの種子を花輪状にして屋根に下げるそうです。ハネフクベは種子の羽根の幅が約13cm、ソリザヤノキは幅が約8cmです。ソリザヤノキは地中の特定の菌と共生している当館では未栽培の熱帯花木です。

進化をした種子の飛行を観察できる良い機会をお見逃しなく。

 

新春に飛躍?する種子

ハネフクベの種子
ハネフクベの果実、一枚ずつ順番に飛行する
ソリザヤノキの果実と種子

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