名誉館長の部屋

種子の講演会や展示会を奈良県で

2018.07.20

咲くやこの花館では、教育目的などで植物標本や鉢物などを他の植物園、博物館などに貸し出すことがあります。近年でもラフレシアの標本(国際花と緑の博覧会記念協会より借用品)、プヤ・ライモンディの標本、キソウテンガイやラフレシアのレプリカなど大型のものから、カカオノキの果実標本、フタバガキの種子、ネペンテスの鉢物など小物まで各地にでかけています。

今年1月関西テレビ「よ~いドン」で「咲くやこの花館」が紹介されたのを奈良県大淀町の皆さんが見られていました。その放映で大淀町「2018第22回図書館まつり」の内容は決定となったそうで、種子をテーマに講演会と展示の依頼を受けました。地元でナシ栽培をされている中元悦子さん率いるボランティアの方々で、毎年文化活動をされているそうです。展示などで大淀町に出かけましたが、その際に五條市と大淀町にかけて広がる「大阿太高原」に無数のナシが植わっている農園があるのを見学しました。

遺伝子の違う個体間で生ずる「ばらつきのある種子」、それが世代交代の際に生じ、環境に適したものが生き残る有性生殖による「進化」、それとナシなどの果物では偶然に生じたり、品種改良された無性生殖による「クローン」株の重要性、これら相反するものが人類にとって何れも重要で、多様性のある植物を語る原点でもあります。その遺伝子伝達の元でもある種子に関して、咲くやこの花館でも展示用にまとめなければと考えていただけに、‘渡りに船’的なテーマでした。図書館の羨ましいような立派な展示ケースをお借りして、種子を展示させていただきました。講演会も素晴らしいホールを利用させていただきました。雨の日で足元の悪い中80名あまりの熱心な方々に聴講いただきました。2,3日後には大淀町の住民の方がご来館、声をかけて下さり、講演や展示の準備の疲れが吹っ飛びました。

種子展示
種子展示
種子関係の本

種子展示会

<奈良新聞より>

ふしぎな種ずらり - 世界最大のものなど120点/大淀町立図書館で8日まで       

 

展示されている世界一大きいオオミヤシの種=5日、大淀町桧垣本の町立図書館

大淀町桧垣本の町立図書館で5日、企画展「世界のふしぎな種&私たちの町のみぢかな種たち」が始まった。世界最大の植物の種「オオミヤシの種」など、海外の珍しい植物や身近な野菜の種など計120点を展示している。8日まで。 
 同館と住民グループ「図書館まつり準備会」が平成9年の開館以来毎年開く、同まつりでの企画。
 会場には重さ20キロ、長さ30センチ以上ある「オオミヤシ」(ヤシ科)や、風でグライダーのように飛ぶ「アルソミトラ」(ウリ科)など珍しい種の数々を展示。町内の畑や山から採取したニラや松といった身近な種も並ぶ。
 このほか梨狩りの招待券が当たる町特産の梨のクイズがあり、植物や種子に関する書籍の閲覧もできる。
 同準備会事務局長の中元悦子さん(66)は「見慣れた花野菜の種をあらためて見てみると、意外な形やつき方をしていて面白い」と話す。
 観覧無料。午前10時から午後5時開場(最終日は午後4時まで)。7日午後2時からは、咲くやこの花館館長の久山敦さんの講演「植物が歩んだ道」が開催される。

種々の種子
タビビトノキの種子
講演会

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