今年もフニーバオバブの開花シーズンになりました。7月下旬から8月中旬、19時過ぎに開花をするこのバオバブ、20-30分の短時間でソーセージ状の蕾が同じアオイ科のハイビスカスの花のように開く動き、目前で繰り広げられるドラマティックな姿をぜひご覧いただきたいと思います。今年は、確認できただけで、30個に近い蕾があります。昨年はお盆頃が見ごろでしたが、今年は高温が続いたためか成長が早く、7月23日現在大きな蕾で長さは55mmほどあり7月末から8月初旬が花期と予想され、少し早まりそうです。当館HP(掲載済み)や電話でご参加の可能な日を登録いただきます。開花の見込みの夜間開館日に該当の皆様にご連絡差し上げる方式です。開館日にはバオバブの種子、樹皮、ロープの展示、近接によるフニーバオバブの蕾から開花までの録画での紹介、バオバブの種子を覆うパルプのパウダーの試食などがあります。また、館内ツアーで夜間の植物の様子もご覧いただけます。
当館のフニーバオバブは1988年、進化生物学研究所理事長で東京農業大学教授でもある近藤典生先生がマダガスカルから導入されました。
(先生はマダガスカルの将来を考え、ボランティアサザンクロスジャパン協会を立ち上げられマダガスカルでバオバブの育苗、植樹など保護活動、啓蒙活動も行われました。)
到着後フニーバオバブの根元は腐り始めましたが、幹の腐れ部分を切り取り、再生させました。そして2006年に国内で初めて開花をさせました。
以降毎年のように咲いていましたが、2014、15年は蕾ができたものの開花を見ませんでした。2016年以降、再度沢山の花を着けるようになりました。
京都府立植物園では大きなアフリカバオバブ(Adansonia digitata)やフニーバオバブが栽培されています。ここでもフニーバオバブが2016,2017年の7月には
少数ですが咲き始めました。花粉の交換で種子の結実の可能性もでてきました。
バオバブはアフリカ本土やアラビア半島に4倍体のアフリカバオバブAdansonia digitata が見られます。『星の王子さま』(サン=テグジュベリ著)に登場するバオバブは本種を指すのでしょう。またアフリカバオバブの標準的な祖先型と考えられる2倍体のものがアフリカ南部、東部の高地に見られ2012年以降アダンソニア・キリマ(Adansonia kilima)と呼ばれています。 .
マダガスカルはバオバブの分布の中心地で6種分布します。そしてオーストラリアに1種オーストラリアバオバブ(Adansonia gregorii)が見られます。アフリカ(含むマダガスカル)、オーストラリア、インド半島、南米は一億数千年前には南半球に存在したゴンドアナ大陸で、地続きでした。マダガスカル付近で誕生したバオバブはのちの大陸の移動により現在の隔離分布となったようです。
(写真下 2018.7.23 フニーバオバブの蕾)