名誉館長の部屋

ボルネオの自然、そして現状を知ろう

2019.08.02

虫を食べる植物展に続いて写真展「生命の楽園ボルネオ」が始まりました。フォトグラファーの阿部雄介氏の作品120点が、展示室をボルネオの生命観みなぎる空間にしています。ボルネオの熱帯雨林は、生物の多様性のセンターともいうべきでおよそ15000種の植物、約220種の哺乳類、約680種の鳥類、そして数え切れない昆虫から構成されています。植物の世界では種子が親元から離れて飛んでいくフタバガキなど、樹木の幹に隙間を見つけた蘭やシダなどの着生植物、虫を食べるネペンテス、世界最大の花を咲かせるが寄生植物のラフレシア、絞め殺しの木と称せられるガジュマルやベンジャミンゴムの仲間、それぞれの現地での生き方が貴重な写真を通してよくわかります。館内にある熱帯雨林植物室では板根やラフレシアの標本、アブラヤシのプランテーションで破壊された熱帯雨林の現状の写真などもご覧いただけます。doc10599720190801200323

ボルネオの生き物が楽しめます。

動物の世界ではオランウータンの生活、昆虫の擬態なども興味深く、写真と共に標本展示もあるので子供さんと共にお楽しみいただけると思います。

熱帯の大型の蝶、トリバネチョウや擬態のコノハムシ、ハナカマキリ、サルオガセギスなどの標本もご覧いただけます。

不思議なほどの昆虫の擬態
植物も種々の角度から
不思議な動物たちも

どうしたらボルネオの生き物と共に生きれるか

そしてぜひ知っていただきたいのが、ボルネオなど東南アジアの自然の状況です。現在問題になっているアフリカ産のアブラヤシ栽培による自然林破壊、その結果行き場を失ったオランウータン、ゾウなどの野生動物への影響、普段知らず知らずのうちに食料、化粧品などで使われているアブラヤシの油、「人にはやさしいが自然には酷なアブラヤシ」の情報なども阿部氏の写真に加え、20ページのテキスト(無料)にまとめ会場でお配りしています。

熱帯雨林を大切にする「缶バッチづくり」、「ジオラマづくり」などのワークショップは嵯峨美術大学の池田泰子先生指導のもと、近畿大学、甲南女子大学の学生さん、VVV-Craft(ヴィークラフト)の皆さんのご協力によります。8月11日には写真家阿部雄介氏の咲くや塾「すごいぞ!ボルネオの森のいきものたち」や同氏のギャラリートークも開催されます。

 

アブラヤシも栽培してますよ。
アブラヤシの現状を学ぶ
ボルネオの生き物を学ぶ

テレビでの放映も

なお、7月23日に当館で収録しましたサンTVの手づくり花づくりの「熱帯雨林の多様な植物たち」(ボルネオの写真展を含む)は8月17日7:30~8:00、「中国の植物たち」(仮題)は8月24日同時間に放映予定です。 

最後になりましたが、巡回写真展として写真作品を提供いただきました、東京農業大学「食と農」の博物館の皆様、作者でテキスト制作にご協力いただきました阿部雄介さま、展示会会場、テキスト作成にご尽力いただきました池田泰子様、その他ご協力いただきました皆さまに厚く感謝を申し上げます。

 

ゴライアストリバネアゲハなど熱帯蝶の標本も
ハナカマキリ、サルオガセギスも

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