館長の部屋

水郷の町福岡県柳川にて

2019.03.01

観光で賑わう柳川、水路やその周辺は昔ながらの景色を残していて舟で巡るもよし散策もよしです。その町の住人、シドニー大学名誉教授(専攻:都市デザイン)の英国人、バリー シェルトン先生そして奥さんの岡山恵美子さんをはじめとした有志が立ち上げた「水のまち研究会」が主催になり、柳川商店街振興組合が協賛で、「第一回水のまちシンポジウム2019」が開催されました。

柳川を考える

2019年1月26、27日に約50名が参加、1日目には名古屋大学の堀田典裕先生が「長野県の馬場家住宅に学ぶ<にわ>‑と<たてもの>の見方と調べ方について」、シェルトン先生が「柳川の都市構造とその将来性」、2日目に南九州大学名誉教授の永松義博先生が「九州の歴史的庭園の存亡」のテーマで話され、学生と自らのボランティア活動による庭園の保全などが評価されました。そして私が「都市の中の自然と庭園」のタイトルで講演をしました。

 

講演会 バリー シェルトン先生
柳川の時代による交通形態
個人の庭の見学会

羨ましい環境

柳川の庭園樹木はカシ、イスノキ、クスノキ、モチノキ等の柳川市周辺でみられる樹種が多く郷土色豊かなものとなっています。柳川地方に残る武家屋敷の庭園と堀割庭園内の水は堀割から導水していて取水方法や地形により池泉型、流水型、流水+池泉型の3区分ができ、庭園の多くは池泉鑑賞の形式をとっています。

掘割、水路の町
掘割、水路の町
立花家の庭園

放置された個人の庭

柳川では昔からあった植物を中心に、それを大切に保存しつつ、庭の管理を行ってこられました。江戸時代からは植物の入れ替えなどがあったでしょうが、他の地の植物や奇をてらった植物の影響を受けることなく、伝統的に維持を続けてこられています。それに加えて水を庭に引くことにより、今でいうビオトープ、しかも長期間維持可能な自然に近い世界としていかされてきました。今後の維持については、各方面のサポートが必要とされますが、先ずは関係者、そして地元の方々の庭を中心とした空間の価値への理解を高めていかねばなりません。将来のサポーターに当たる若い人々、家族での参加などが特に重要になり、植物、昆虫、魚などの生き物を通してのワークショップ、ボランティア活動への動きが重要になるでしょう。その他、柳川付近での要注意外来植物紹介や自然の大切さも忘れられません。また「自然を知る楽しみを各年齢層に伝えられるようにと、咲くやこの花館での試みの例」などをあげました。

私ごとで恐縮ですが、私の生まれた母の家は、300年間古美術品や茶道具を扱ってきたこともあり、庭には茶席用の山野草などが沢山育てられ、茶室や亭がありました。その傍らには池があり、そばの水路から水が引かれていました。ミニビオトープのような池で、フナをはじめ種々の生き物の観察ができました。柳川の池のある庭を見ていると、できる限り再生のできるものは生き物のすみかとして残してほしい、ふと子供の頃の思い出に重なってしまいました。

池の跡
庭石も片付けられている
池の跡

時を忘れる

柳川もまた時代の波にもまれ、観光資源か、住民の生活の便利さか、この二者が押し合いを続けています。時に追われる生活を忘れさす環境、自然との共存をはかれる世界、今後も大切にしてほしいものです。

堀をゆく観光の舟
和風ミニチュアガーデン
水辺の庭

シェルトン家

シェルトン先生夫妻が柳川に思いを
洋風、東西の出会い、しかし不思議と調和している

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