新元号が「令和」に決まり話題になっています。万葉集(760年頃)の序文が典拠ですが、大伴旅人の邸宅(太宰府)に集まって宴会が開かれた際のことで、その序文は「折しも、初春の佳き月で、空気は清く澄みわたり、風はやわらかくそよいでいる。梅は佳人の鏡前の白粉のように咲いているし、蘭は貴人の飾り袋の香にように匂っている。」(『新版 万葉集 一 現代語訳付き・角川ソフィア文庫より) という意味だそうです。花好きの皇室の方々に相応しく、花を愛でる歌ということで、植物園としてもうれしい限りですが、咲くやこの花館の館名も同じように梅が詠われています。古今和歌集(905年頃)からの引用で、王仁の作とされる和歌、「難波津に 咲くやこの花 冬ごもり 今は春べと 咲くやこの花」に因みます。分かりやすい表現では「難波津(なにわづ)に、咲いたよこの花が。冬の間は籠っていて、今はもう春になったというわけで、咲いたよこの花が」となります。古い時代のウメは野梅系の白花一重の素朴なものだったでしょう。そして中国からの導入品と考えられています。