館長の部屋

花茎3mのガイアリリーが咲き始めています。ハンカチノキなどなども楽しめます!!

2019.05.02

ガイメアリリー(Dryanthes excelsa)はドリアンテス科(旧:リュウゼツラン科)に属す単子葉植物で、アヤメ科に近縁のクサスギカズラ目の植物です。リリーの英語の名がついていますが、スイレンをウオーターリリーというようにユリに似ているとか花の代名詞として使われています。

オーストラリアの松明?

ガイメアはオーストラリアのシドニー郊外の地名で、この辺りの海岸に近い林の周辺部などに本種は自生をしています。アボリジニーはこの植物の若い茎や根を焼いて食用に、葉の繊維はマットなどにします。種子から開花まで最低でも8年はかかりますが、株分けでも殖やせます。咲くやこの花館では水はけの良いデザートガーデンで長年栽培をしていますが、最近ではほぼ毎年花が見られます。着蕾後花が咲くまでに時間を要し、高さ3mの花茎の先端に花芽が完成したのが2018年9月(写真)、その後半年は余り変化もなく、2019年5月(写真)にようやく咲き始めました。花茎が数メートルになる有名なアガベ・サルミアナ・フェロックス(リュウゼツラン科)も同じように開花までに時間を要します。ガイメアリリーの花は赤く、直径は30cmあまりにもなり興味がひかれます。以前オーストラリアの植物展などの催し物に2回この花を切花でオーストラリアより輸入したことがあります。高さ1.5m、1本の切り花ですが車を必要としました。国内では殆ど栽培されていない植物です。お見落としのないように。

ガイメアリリー 2018.9.24
ガイメアリリー 2019.4.29
ガイメアリリー 2019.4.29

木に下がるハンカチ

ハンカチノキは学名をダビディア・インボルクラタDavidia involucurataと言いヌマミズキ科に属します。ダビディアはフランスの宣教師で動植物学者でもあったアルマン・ダヴィットの名前に因みます。パンダをはじめ多種類の動植物、鳥の紹介を中国から欧州に行いました。その中には52種のシャクナゲ類や40種のサクラソウ属も含まれています。私も1981年日中国交回復後初めて許可のおりた四川省の峨眉山(3099m)に登頂、標高1100m辺りの九老洞付近で野生のキウイとともに涼しい谷間でハンカチノキを見つけました。樹高10mはありました。白く見えるのは苞で開花するまで真ん中にある花をまもっています。花は受粉すると果実がぶら下がります。葉が展開すると一ヶ月ほどガス漏れのような臭いがします。青葉アルコールという成分です。この匂いは年齢により好き、嫌いがはっきりとしています。皆さんは如何でしょうか。(入館者の皆さま200人以上に訊ねると、子供さんは大嫌い、齢を重ねると反対になりました。)

前述の峨眉山へは中国植物研究家の荻巣樹徳氏の案内で出かけましたが、氏は1982-4年に四川大学に留学、偉大な植物分類学者方文哉教授の元で研究をされました。荻巣氏の研究用の四川省などからの植物は現在高知県立牧野植物園と咲くやこの花館に分散して保存展示をしています。兵庫県宍粟市山崎の山崎菖蒲園にあった関西テックの施設、荻巣氏が力を注いだ伝統園芸植物研究所よりの譲渡で1500鉢近くを持ち帰らせて貰いました。峨眉山での今迄見たことのない植物により荻巣氏は無論のこと、同行者の生活をも変えてしまいました。九老洞付近で見たイカリソウは自然交雑の濃黄色に赤紫のツートンカラーの美しい株は注目の的になり、今年の当館のイカリソウ展においてもエピメディウム‘クロウドウ’の名前で展示がされました。山野草研究家の森和男氏、世界の樹木専門の広瀬農園の広瀬憲二氏、樹木の専門家である大湫植物園の山口清重氏、数え切れないほど四川から雲南への植物巡礼が続くのでした。その結果、日本をはじめ欧米などにも素晴らしい未知の植物が情報や実物で紹介されたのでした。私もまだまだ新しい植物紹介の可能性がある確信を得て、その翌年1982年から兵庫県の淡路島にできる県の植物園の設計や植物導入計画を兵庫県県庁の農産園芸課で始めたのです。

 

ハンカチノキ 2019.4.29 Davidia involucrata
ハンカチノキ 2019.4.29 Davidia involucrata
エピメディウム‘クロウドウ’Epimedium ‘Kuroudou’2019.4.18

青いケシも十分に咲いています。

栽培上の工夫も加えGW には程よい数の青いケシ、そしてシャクナゲ類などヒマラヤから雲南、四川にいたる植物を展示しています。そして高山植物室では日本、ヨーロッパ、アメリカなど地域ごとの高山植物などをお楽しみいただけます。青いケシの仲間は学名でメコノプシス、「ケシに似ている」の意味で、ケシに近縁属です。世界で一番メコノプシスの自生地に詳しい写真家で植物分類家の吉田外司夫氏によると、イギリスのケシ科の分類学者でもあるグレイ・ウイルソン氏との分類のまとめで79種と発表されています。(吉田氏には当館のフォトコンテストの審査員にもなっていただいています。)青いケシの代表種メコノプシス・グランディスとメコノプシス・ベトニキフォリアです。前者の葉は根元からしか出ない根出葉で、後者は茎全体に葉がつき全く違います。近年ベトニキフォリアの名前が変わり以前付けられていたベイレイに戻されました。今ではベトニキフォリアの名前が使われなくなりました。ベイレイは私もチベットで何か所かで観察しましたが、葉の縁などが違い、今迄ベトニキフォリア(現在ベイレイ)の名前でイギリス(1972年)や日本で栽培したことのあるものとは違いました。進化の途上にある属で、花の色や形のバラツキはありますが、葉の縁や厚みなどが違うのです。グランディスの名前で出回るものにも本来の姿と違うものが多くあります。これはこの2種が交雑しやすく、雑種強勢の原理で2種の良い部分、栽培しやすいとか大きいものとかの人に都合の良いものが交配種子中にいくらか出現するのです。イギリスではこの2種の交配品を「シェルドニー」( Sheldonii )や「リングホルム」(Lingholm )などの品種名で扱われています。現在、世界各地で栽培されている青いケシの中で純粋の野生品は僅かです。当館でも吉田氏などの採種されたメコノプシスを播種、育苗をしましたが開花に至った株は少なく、飼いならしの進んだ雑種強勢に基づく品種との違いに残念な思いをしてきました。青いケシを撮影されたり、よく観察される方は個体ごとのバラツキに気づかれることと思います。それには前述の2種間の遺伝子が中間だけでなく、グランディス系、ベイレイ系があり変化に富むのです。生き延びる植物の恵みでもある美しいブルーの花をお楽しみ下さい。

 

咲くやこの花館の青いケシ
咲くやこの花館 メコノプシス・グランディス系
チベットセチラのメコノプシス・ベイレイ

他にも・・・熱帯雨林植物室

バンダ・ラメラタ・ボクサリVanda lamellata var.boxallii フィリピンのルソン島ラン科
デンドロビウム・ティルシフロルム Dendrobium thyrsiflorum ヒマラヤ山麓~タイ
ニンファエア‘レッドフレアー’ Nymphaea ‘Red Flare’1938年に’作出、夜咲き品種で交配親は不明、夏以外は昼間に咲くこともある。

熱帯花木室

アリストロキア・ギガンテアAristolochia gigantea ブラジル  ウマノスズクサ科
ジャカランダ・ミモシフォリア Jacaranda mimosifoliaアルゼンチン ノウゼンカズラ科
ネペンテス・ベントリコサ Nepenthes ventricosa フィリピン ウツボカズラ科

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