名誉館長の部屋

チャボトウジュウロの相棒が故郷の宝塚市へ

2020.03.22

チャボトウジュウロの今

2014年1月17日に咲くやこの花館の前池の傍にチャボトウジュロ群生株が2組植栽されました。1947年5月日本植物園協会発会記念樹として、旧宝塚植物園園内で育てられていた株です。その1組が3月に掘り取られ、宝塚の元の場所近くに里帰りました。リスクや里帰りも考慮、2組持ち帰っていたのが、6年目にして役立ちました。宝塚植物園、次に宝塚ファミリーランド、そして宝塚ガーデンフィールズと出世魚のように名前を変え、2020年4月19日には宝塚市文化芸術センターとしてオープンします。センターと手塚治虫記念館の間の目立つ場所にチャボトウジュロは戻されました。チャボトウジュロは地中海地方の夏に乾燥する地域で生き延びるヤシです。しかも成長の極端に遅い植物です。さすがに日本植物園協会のメンバー、放置状態でも枯れない、将来大きくなり切られる心配もない、移植も問題ない、パーフェクトな植物選びです。そして、大切なのが宝塚市文化芸術センターとそれに続くにガーデンは、地元のガーデンフィールズファン、緑の空間を愛する人々、そして日本植物園協会が一丸となって、みどりの空間を残す運動をしたことです。ガーデンフィールズの半分程度の面積になりましたが、宝塚市が0.92haを15億2000万円で阪急電鉄から購入してくれたことです。これで、アメリカのバージニア リー バートンの絵本『ちいさなおうち』のようにビル街の状態にならなくて済みました。宝塚の動植物園一帯を文化と娯楽の場に推し進めた小林一三氏もほっとされているのではと思います。

掘り取られたチャボトウジュロ
現在の咲くやこの花館の状況
宝塚市に里帰り、大切にされているチャボトウジュウロ

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