館長の部屋

国際花と緑の博覧会(大阪花博)、咲くやこの花館30周年記念企画展(Web版)

2020.04.12

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キソウテンガイも

共に30年の歩み

うまくいくとあと

1900年は生きれる可能

性が!? 野生株の調査

から約2000年生も

(写真上1990年、下2020年)

 

 

 

 

 

            

 

 

 

30年間の園芸界の変遷

花の博覧会は、1960年のオランダでの「フロリアード」を皮切りに、欧米各地で開催されました。1990年、東洋で初めて、世界で12番目の花の博覧会「国際花と緑の博覧会」(以降省略:大阪花博)が、大阪鶴見緑地で開催されました。その後、淡路(2000年)や浜松(2004年)で開催され、2027年3~9月には横浜花博が、大阪花博と同じ規模の大きいA1クラスで、開催予定です。大阪花博は期間中、約2312万人の入場者がカウントされました。今迄の欧米各地の植物を主体としたオーソドックスな花博とは異なり、大阪市所有の鶴見緑地を、当時好調だった企業や諸外国などの後押しで、花の世界を種々の方法で紹介するだけでなく、エンターテイメント性も散りばめた遊園地的な世界も備えたスタイルで集客をしました。そして会期終了後は「園芸」が「ガーデニング」とお洒落な言葉に代わりました。2000年頃迄にはイングリッシュガーデン、ハーブ、ハンギングバスケットも一般化、お洒落な園芸雑誌も発刊され、園芸愛好家は増加の一途をたどりました。家の敷地の制約もありますが、閉鎖的な庭から、道行く人にもお洒落を共有して貰える庭やそれを楽しんで貰う傾向が強くなり、自宅の庭を、花好きの方に開放する、オープンガーデンも盛んになり始めました。また1991年からは東京で大規模なラン展が開催され、1997年頃からは大阪ドーム、そして神戸、岡山、広島など各地で開催されました。しかし長くは続かず、2003年の大阪高島屋のラン展を最後に、ランの大展示会はほぼ壊滅状態となりました。

大阪花博の賑わい
ティランジアのハンギングバスケット(記念企画展)
多肉植物のハンギングバスケット(記念企画展)

工夫のいる植物栽培

2004年英国王立園芸協会(RHS)は発足後200年記念を迎えました。RHSはエリザベス女王が総裁の30万人の会員数を誇る会です。その祝賀会が2月に東京の英国大使館で開催されました。英国から招かれた2人の造園関係者の話よりも印象に残った話は、立食パーティの際の英国大使館の一等参事のレディーのあいさつの中にありました。「・・・日本はナノ技術に秀でた国で、先進技術の中でも生かされている。ぜひガーデニングにもうまく活用して楽しまれるように」といった内容でした。顔を見合わせている方もおられたが、英国の王立キュー植物園で一年間の研修経験のある私も同感で、この参事の言葉は英国人らしいアイロニー(皮肉)とユーモアーを含んだ、印象深い、事実表現と解釈しました。その後も思い当たることも多く、何度もその時の光景を思い浮かべることになりました。日本は盆栽、坪庭、箱庭の国でもあります。日本には自然の豊かさもあるので比較は難しいですが、パーク、グリーン、コモンなどの大きな人工的な公園、緑地の少なさも気になったのでしょう。この話、その通りになったのです。ナノの技術もさることながら、園芸に使える場所がなかなか確保できなくなり、ハンギングバスケットのように地に植えない園芸や、家の中で楽しむスタイルが流行の先端を行き始めたのです。しばらくはガーデニングブームに沸きましたが、各自の住宅庭事情に応じた個性的な園芸が加わりました。その中には一等参事のお言葉的な要素が散りばめられています。今やパルダリウムやコケリウムといった室内型園芸が若者を中心に人気を呼んでいます。日本で人気がでた植物の楽しみ方、家の中で苔を楽しむコケリウム、日本で器材や植物の開発が進んだハンギングバスケット、日本より海外で愛好者の多いBONSAIなど、植物が世界の人々にもたらす恩恵は物質面からだけでなく、国境を取り去りお互いに乗り入れ楽しむ、人々を思いやる大切な役割もしています。30年間の園芸界を振り返り、明るい未来へと思いをつなげましょう。

 

多肉植物好きのベランダのイメージか(記念企画展)
パルダリウム、コケリウム/モスライト(記念企画展)
植物栽培をしない人にも人気のあるきのこ展

30年間の咲くやこの花館の歩み

1990年4~9月に400万あまりの入館者をお迎えした花博終了後は、単独の有料植物園としての体裁を整えるために半年の時間が割かれました。1991年大阪市直営で再オープン、1992年より大阪市の外郭団体の大阪市公園協会が運営を開始しました。2007年より指定管理者制度での公募方式に移行、審査は民間の学識経験者により大阪市が発表することになりました。2020年4月より咲くやこの花館を含む鶴見緑地全体が、指定管理期間20年に変更され、(株)ダイワリースを代表に、咲くやこの花館は(一財)大阪市スポーツみどり財団が引き続いて管理運営をする運びになりました。

左端は乾燥地植物室の計画から植物導入に尽力された近藤典生元東京農業大学教授で進化生物学研究所創設者(故人)、秋篠宮殿下の植物の先生 。
上皇上皇后両陛下、右端は熱帯系植物の計画から植物導入の役をされた立花吉茂先生(故人)、大阪市大附属植物園(助教授)で当館の植物プロデューサーだった。
高山植物関係の計画や植物導入などは尾上高知先生(故人)と私、一部は北大農学部教授、同附属植物園長であった辻井達一先生(故人)で行った。

多くのみなさんのパワーで進化が進む

=植物園の発展にとって最重要なのは栽培です。熱帯植物、ラン類、乾燥地植物、高山植物、イングリッシュガーデン用の草本類、有用植物類と分野毎に、ベテランを配置、ベテランの指導の元、各担当職員は実力をつけていきました。熱帯雨林から極地まで特殊な植物が多く含まれ、入手難、栽培不明種を徐々に栽培可能にしていきました。

=自然から学び、植生にもこだわり、一例として人工的な要素を排するために植木鉢を見せない工夫などを進めています。

=毎日、朝夕にバックヤードで栽培している開花や結実状態の植物と、時期の終了した植物との入れ替えを行っています。英国のチェルシショーにも出展経験をお持ちのバラクラガーデン代表の山田裕人氏いわく「日々がフラワーショーですね」の言葉通りに、 いつお訪ねいただいても300種以上の見ごろの花をお楽しみいただけます。

=世界の非日常的な植物が御覧いただけると共に、愛好団体等のご協力を交えて進化やその機能が観察できる食虫植物など、伝統園芸植物として重要なフウランやカンランなど、人気があり栽培したくなる原種シクラメンやヤマアジサイなどと多彩な植物との出会いや入手を可能にしています。また、各種技法で楽しめる、ハンギングバスケット、プリザーブドフラワーなどの素晴らしい展示や手ほどきもあります。

=人類にとって不可欠な植物、そして生かせて貰っている大切な地球、将来も安定的に生活をするための情報や体験を自然保護団体、研究施設、教育機関との乗り入れや、講習会、ツアー、ライブなどを通して推し進めています。当館の生きた見本で、日本を中心にハワイやボルネオなど世界各地の自然の現状を明らかにして、日々の生活、仕事などの中で地球の危機から脱する方向づけで活動します。

=自然を構成する植物を中心に昆虫、菌類などその繋がりが分かる世界の紹介に近年取り組んでいます。その例がきのこ展や昆虫教室です。博物館、昆虫館など各分野の専門家とのコラボレーションにより「地球を大切に」を目指しています。

=親しみやすさを重要視した展示会や講習会は、五感にうったえる要素を強化、魅力ある専門家のご協力により、作る、口にするなど、参加することで初めて経験できる、価値ある植物園づくりを多くの協力者、団体の皆さまのお力添えで推し進めています。

 

大阪花博を成功させた大阪市のメンバー、前列の緑の上着の方は洋画家で初代館長の祢宜吉子さま(2015年)
大阪花博で人気者だったメコノプシス、この仲間は約70種、青い花の他に紫、白、赤などが当館のフォトコンの審査員の吉田外司夫氏は植物研究家で写真家、新種発見も多く、写真展示も4月より行っていた。(記念企画展)
咲くやこの花館の催し物関係のメンバー(2019年夏・食虫植物展)

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