2020.05.15
バラの花があちこちで美しく咲き誇る季節になりました。
咲くやこの花館では大阪ばら祭2020を2020年5月8日~10日に開催予定でしたが、臨時休館に伴い中止になりました。この催し物は2001年以降毎年開催されてきました。これは2004年5月に開催の「世界バラ会議大阪大会」(会場:大阪国際交流センター、鶴見緑地水の館)のプレイベントと位置づけられたものですが、終了後も更なるロザリアン(バラ愛好家)づくりもあり19年間続けてきました。
2019年10月26日には、大阪バラ祭とは別に、オータムローズウィークが 10 月 19 日 ( 土 ) ~ 27 日 ( 日 )に鶴見緑地で開催されました。そして10月26日には京阪園芸㈱のローズソムリエ、小山内健氏による プレミアムトークショー が開催され、「私が最も魅せられたバラ」のテーマで話をされました。それに先立ち、私がオープニングウエルカムガイドと称し、主に当館で栽培の原種バラ、そしてバラ展を紹介させて貰いました。
バラの世界で最重要な四季咲きのバラの起源については、1910年E.H.ウイルソンがロサ・チネンシスf.スポンタネアを四川省北川で見つけて発表してから、再度見つからないで「幻のバラ」とされていました。1983年5月に中国植物研究家の荻巣樹徳氏が四川省雷波の標高1560mで再発見をされ、世界的に有名になりました。ロサ・チネンシスf.スポンタネアは一季咲きですが、四季咲き性のバラのDNAからはスポンタネアとノイバラなどとの交配も推測されています。「おそらく自然界に突然変異で生じた四季咲き性が人の目にとまり、栽培されるようになったのであろう。中国では唐の時代「長春花」、「月季花」、「四季薔薇」、「月月紅」と呼ばれ、四季咲き性の形質に注目して栽培品種化されていたと」荻巣氏は話しています。このような品種化された四季咲きのバラの総称が世間で言うコウシンバラ(庚申薔薇)という名に当たるのでしょう。そして四季咲き品種「長春花」は1751年にスウェーデンに導入された‘Old Blush’ではないかと推測されています。
花季さつき展覧会も5月21日~24日の開催予定でした。
江戸中期にツツジのブームがあり、数多くの園芸品種が作出されました。これらを園芸的に区別するために、4月から5月中旬に開花するものを「つつじ」、5月下旬から6月上旬に開花するものを「さつき」と呼び始めました。関東以西に自生するサツキ( Rhododendron indicum)や,屋久島、吐噶喇列島に分布するマルバサツキ(R. eriocarpum var.eriocarpum)との種間交雑品が起源と考えられています。昭和初期には在来品種とアザレア(Rhododendron simsii cv)との交雑が行われ広まりました。尚アザレアはベルギーに導入された台湾のタイワンツツジと慶良間諸島を含む沖縄諸島等のケラマツツジ(Rhododendron scabrum)、そしてさつきと複雑に交雑されたものです。サツキは狭義のサツキ( Rhododendron indicum)1種を指す場合と「さつき展示会」のように種間交雑などで生じた園芸品種群の総称さつき(Satuki Azalea hybrid)を表す場合があります。さつきもなかなかご先祖様にはお会いできませんが、野生種のマルバサツキは上品で魅力があります。