2021.06.09
咲くやこの花館はCOVID19の影響で4月25日以来長い休館に入っています。当館ではみなさんの目に触れることもなく、栽培棟で咲いて終わりの花も多く残念です。館内では休館日だけではできない、床面工事など補修工事を行っています。アテンダントや催し物担当は再開時の用意や、研修なども行っています。館内ツアーの向上を目指し代表植物約100種の特徴やその背景を調べています。今回は手書きで植物の構造の分かる絵を添付して貰っており、各自の理解だけではなく、変化のあるツアーの際にも利用できないか検討中です。
ロシア旅行社よりサンクトペテルブルク植物園が国際科学会議を開催するので参加依頼がきました。テーマは「日本庭園」で、サンクトペテルブルグ植物園の日本庭園築造20周年を記念したものでした。5月31日~6月3日の4日間でしたが、Zoomで参加させてもらいました。同植物園は温室だけで6500種を栽培するユーラシアの代表的植物園です。2008,2013,2016年の3回園長をはじめ多くのスタッフが咲くやこの花館に来館され、3~4時間の滞在中には、館のアウトラインから広報に至るまで解説をしました。質問時間を設けると、配布物の詳細から全体経費、人数、失礼ながらと言いながら給料まで事細かに聞かれました。現在では、立派な日本庭園もでき、日本産の植物充実にも努められています。先方の希望植物リストに「マツムラソウ」、「トガクシソウ」など日本原産からオーストラリア原産 のケファローツス、熱帯産のオバケコンニャク類、アラマンダなども含まれていました。当館にはロシア産シャクヤク類、そしてアリストロキアなどの穂をいただきました。シダの研究者の方は、今回日本から「リュウビンタイ」が持ち帰えることができ、「今日はクリスマスのようだ」と喜ばれていました。今回、「日本庭園」がテーマの会議ではロシア各地の日本庭園、海外の日本庭園の歴史など興味深い内容で、ロシア、日本人が主にスピーカーに、咲くやこの花館からは城山館長がパワーポイントで咲くやこの花館で栽培をしている日本庭園向きの植物を紹介しました。“Sakuya Konohana Kan, B.G. and the plants related to Japanese Landscape Garden.”というタイトルで、日本的だがあまり使用されていない野生変異のヤマアジサイ、東アジアのイカリソウ類などを多種類紹介しました。
6月6日には大阪ビジネスカレッジで、高校三年生の来年同カレッジのフラワー学科入学予定の皆さんに植物を扱う仕事のひとつ、植物園の展示から仕事内容、各植物園の雇用形態や今後の方向性など、役立つ情報をパワーポイントでお話しをしました。ペットを扱う科などもあり2年制で毎年二百数十名の入学があるそうです。こちらの研修も多くの方がZoomで見られ、保護者の方も参加、植物園の仕事に興味を持たれたようです。この学校の生徒さんには咲くやこの花館のバラ展の際には、アレンジメントづくりに参加していただき、学びながらお手伝いして貰っています。
世界一詳しい青いケシの図鑑が出版されています。以前より咲くやこの花館フォトコンテストの審査員や咲くや塾講師として活躍していただいていました吉田外司夫氏の手によるものでタイトルは『青いケシ大図鑑』(平凡社)です。青いケシの仲間(メコノプシス)90種を700点の写真で紹介されていますが、内36種は吉田氏の見つけられた新種です。過去にも『ヒマラヤ植物大図鑑』(山と渓谷社、ハングル語版も)、『天の花回廊』(朝日新聞社)、『花のヒマラヤ』(平凡社、英語版も)と出版、高山帯で苦労をされた汗の結晶です。
新品種のランの名前にわたしの名前が、ヒマラヤのブータン王国の西側にあったシッキム王国の入口、カリンポンのラン研究家、ウダイ プラダン氏が作出したバンバンダVanvandaにVanvanda Atsushi's Kazukoに敦の名前が入りました。ランの雑種の登録を受け付けているRHS(英国王立園芸協会)が受理をしました。是非導入したいものです。ウダイ氏は1972~3年ロンドンのキュー植物園で私と同期に学び、以降お互いに行き来をしています。当館の咲くや塾の講師になって貰ったこともあります。ヒマラヤのリリウム・ネパレンセ(ウコンユリ)、リリウム・ワリキアヌム、ユキモチソウの仲間など、入手の難しいヒマラヤの山野草、高山植物を送ってきてくれ、みなさんに御覧頂いています。