名誉館長の部屋

はじめてのスパイス展  植物園への植物導入

2021.10.14

スパイスとは

10月16日~11月7日はスパイス展!!土日はスパイスカレーの味が楽しめます。爽やかな季節、食欲の秋に相応しい催し物です。「スパイス」はハーブと組み合わせになり、書物も国内外で出版されています。スパイスとハーブをどう分けているのでしょうか。全日本スパイス協会の区分ではスパイスは利用部位が茎、葉、花を除くものとしており、トウガラシやバニラのように果実部分、クミン、ディルのように種子を用いるものを指します。一方「ハーブ」は茎、葉、花を利用するものとしています。シソ、パセリの葉、セロリーの茎、ミョウガの花穂などがハーブになります。会場には代表的なスパイスの元になるクローブ(丁字)、オールスパイス、キナモヌム・カシア、セイロンニッケイ、カルダモン、ケパー、コショウ、ロングペパー、スターアニス(八角)、バニラ、ペパーミント、トウガラシなどを生きた姿で展示しています。京都の日本新薬(株)山科植物資料館、武田薬品工業(株)京都薬用植物園のご協力を得て、当館栽培品と合わせてご覧いただけます。ウコンやカルダモンなどはインドから中近東に紀元前には運ばれていたようですが、16世紀になると欧州各国は競ってアジアから欧州への香辛料貿易で利を得ようとしました。時には軍事行動も起こし、スパイスが大きな影響を与えたようです。今、何の苦労もなく味わえるスパイス、「花よりカレー」で、スパイス、そしてその原点にも目を向けていただけたらと思います。

ヒマラヤの山麓シッキムを訪ねるとカルダモン栽培があちこちで。爽やかな香りだけでなく健康に良いので、今や世界各地で楽しまれているスパイス。
サフランはギリシャのクレタ島のクロッカスの一種(Crocus cartwrightianus)と思われる種の頭柱の長い種子のできない3倍体をC.sativusと称してサフランとしている。黄色の色付けができるスパイス。当館では11月初旬に開花の年もある。
クレタ島で春咲きのクロッカス(Crocus sieberi)を掘り上げたところ。この時期は残念ながら秋咲きのサフランは見られない。

咲くやこの花館への植物導入、その利用

10月9日フラワーソサイエティー主催による講演会が大阪市東成区民センターにて開催されました。甲南大学特別客員教授の田中修氏の「コロナ禍の今、植物の“たくましさ”を考える!」のあとで植物の導入―植物園の場合」の講座を開かせて貰いました。

(その一部より)

 

植物の導入方法…咲くやこの花館の場合>

*プラントエクスプローラー(植物採集探検家)=職員等による・・・インド洋諸島、アラスカの極地植物、ジャワ熱帯~高地、雲南、四川、チベット、クレタ島など

*交換・・・ロシアコマロフ植物園、大阪市大植物園他

*寄贈・・・京都府立植物園、三栄源、オーストラリア連邦政府、趣味家、関西電力伝統園芸研究所、ワコーパレット、ベトナムホーチミン市(大阪市友好交流地)、セーシェル共和国、国立極地研究所(コケ類)、ノルウエートロムソ極地・高山植物園、名古屋東山植物園他

*購入・・・沖縄から熱帯、亜熱帯の栽培植物、マダガスカルから、英国(シャクナゲ類他)、ドイツ(ネペンテス)その他

*ワシントン条約CITES対象 税関での任意放棄植物約500点

 

館の熱帯雨林植物室の入口付近へ沖縄からのガジュマルを植え付け中。
花博開幕1年半前に持ち込まれた熱帯植物、暖房装置が未完成のためにビニールで保温。11月。
英国から輸入されたロドデンドロン(シャクナゲ類)、低温期なら輸送に20日を要しても大丈夫。33年になるが元気に育っている。

植物の導入と役割

植物園の役割…咲くやこの花館での場合>

植物の導入  花博の基本理念でもある「人と自然の共生」に繋がる植物収集

自然と人の調和のために、自生地に近い環境を体感できる場づくり。例えば独自の進化を遂げたマダガスカルの植物は、乾燥地植物室のマダガスカル区に、Adansonia(バオバブ)、Cyphostemma(キフォステンマ)、Pachypodium(パキポディウム、アアソウカイ)、Alluaudia(アルアウディア)などが、マダガスカルでも湿地のティフォノドルムはロータスガーデンに、雨のある地域のタビビトノキは熱帯花木室にと、生育環境に分けると同時にできるだけ地域の植物を1か所に集めて展示をしています。ヒマラヤ~四川に関しては高山植物室においてPrimula(サクラソウ類)、Rhododendron(シャクナゲ類)、Meconopsis(青いケシ類)、Nomocharis(ユリに近縁属)などを組み合わせてご覧いただいています。(ドイツの植物園では、地域別に分けているケースがあります。)

更に人工物排除のために鉢植えはプランジ(埋め込み)式にして隠し、季節とともに移り変わる花や果実を観察、観賞できるように、バックヤードの植物と毎日入れ替えを行っています。

*植物を健全に育て、教材などとして展示、五感で感じ取れる工夫。

*植物に関する情報発信

*植物栽培法などの紹介

*植物など生物の保護に関して(紹介、啓蒙活動など)

*植物を観賞、寛ぎの空間とする。

*催し物、ツアー、塾、ワークショップ、外部用ツールとして

ズーム、教室、展示、出版、テレビ・新聞・雑誌などでの情報伝達。

 

植物を育てる」のつもりが、「植物に育てられている」の現状と地球環境問題

                              

*導入植物を研究用に提供
 例)ユリ属のDNA調査(京都大学大学院理学研究科)
   スミレ属のDNA調査(兵庫県立小野高等学校)
   ヒスイランの新色素分析(国立科学博物館)
   メコノプシス(青いケシ類)の色素(名古屋大学)
   オオオニバスの葉の構造と強度(大阪大学)
     北極圏植物の温度変化への耐性(名古屋大学)

英国王立キュー植物園の場合はレディング大学との乗り入れで研究も

 

 

アラスカの最北バロー付近でイヌイットの人たちと、州から許可を貰い極地植物の調査、採集を。まずは愛知博で展示、その後当館に。道路も、車もなく小型飛行機とバギーに頼る。ウサギギクの仲間などの極地植物とカリブーやクマそして静けさはある。
ジャワ島パングランゴ山の標高3000m辺りを、地元のチボタス植物園の分類学者たちと登山中に着生シャクナゲのロドデンドロン・ジャバニクムが落下してきた。幸い救われ当館にて元気になる。夏は冷房、冬は暖房が必要。年中常春の赤道近くの高い山出身の植物は贅沢だ。
ワシントン条約は経済産業省の管轄、税関で任意放棄さされたラン、サボテン、一部の食虫植物などは日本植物園協会を通じて、植物園で寄託栽培をしている。当館でも500点以上が、時に展示される場合もある。

英国王立キュー植物園の植物導入

日本からの持ち帰りのケース

種子の採種が基本で、遺伝子の違う株(クローン)からの採種をします。種子などと一緒に取り込む虫などは、キューの研究者が調査のために必要なので除去などは行いません。

日光白根山で採種中のキュー植物園、オックスフォード大学植物園

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