名誉館長の部屋

サクラ、モモの大敵が海外から

2022.10.18

日本のサクラ、ウメ、モモが危機に

先日、芦屋市内の公園や街路樹をNPO法人 「樹木研究会こうべ」のみなさまと取材でまわりました。目的はクビアカツヤカミキリAromia bungiiという、中国,モンゴル,朝鮮半島,台湾,ベトナム原産の昆虫の被害状況の確認でした。2012年、愛知県に移入、その後2015年には大阪、ついに兵庫県でも見つかったのです。現在特定外来生物に指定され、関係者は少しでも広がらないようにと緊張状態です。狙われるのは、サクラ、ウメ、モモ、カキなどで、一旦侵入すると退治は簡単ではありません。最初に捕殺を行わないと繁殖力旺盛で、サクラの名所などに大きな被害を出すことになりそうです。成虫は6月中旬~8月上旬に見られ、その間に産卵を行い、寿命は2週間以上だそうです。幼虫は樹木の辺材や心材の内部で2~3年過ごし、その間大量の木屑と糞の混じったフラスを排出します。また木を弱らすだけではなく枯死していきます。生活史が長いため侵入後の防除は困難で、中国では、昆虫病原性線虫を利用して防除が行われています。写真のカミキリムシを見つけられたら、環境省近畿地方環境事務所 野生生物課 06-4792-0706まで連絡をしてください。なお、YouTube「ショクナナ」の「この虫見つけたら即通報」、「樹木医が注意喚起」では動画で紹介中です。

クビアカツヤカミキリが身近に(芦屋市)
サクラから木屑とクビアカツヤカミキリの糞が混ざるフロスが
観察中の標識

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