2022.10.18
今年6月、神戸市にある灘校の役員会の父兄約100名の方々に植物の講演をする機会をいただきました。その中に松原市の阿保神社(あおじんじゃ)の現在の宮司、山野美江さまもいらっしゃいました。講演会終了後、神社の拝殿天井にある植物画の名前を調査、天井絵を修復して保存する事業をスタートしたいとのお話がありました。早速、写真をお送りいただいて48枚の絵とにらめっこ、同定を始めました。一目で分かる種類もありました。例えばニシキギの天井絵は若い枝に「翼」という、コルク質の板状のものがつく特徴で見分けがつきました。ビワ、ザクロ、ノカンゾウなどは良かったのですが、クロスワード状態の部分もあり、断片から想像を膨らましたものもありました。
天井絵で植物の描かれたものは、江戸時代初期から現代のものまで、京都などの神社や仏閣にも存在します。京都東山仁王門の信行寺には伊藤若冲(1716~1800年)の晩年の作といわれる植物画167点が天井を飾りますが、普段は一般公開されていません。
阿保神社を訪ねられる。HPでご覧になる。天井画保存へのご協力をいただく。古の人々の植物への思いを絵から垣間見る機会ともなるでしょう。花天井・修復保存事業について - 阿保神社 公式サイト(大阪府松原市) (ao-shrine.com)
なお阿保神社は、平安時代初期の第五十一代平城天皇の第一皇子である阿保親王に由来します。阿保親王がこの地に居住されていたと伝えられて、境内には阿保親王住居址の石碑があります。また本殿にお祀りする御祭神は菅原道真公で、平安時代初期の政治家、文人、学者として知られています。