名誉館長の部屋

話題の植物が次々と

2023.02.02

小さくても話題が

高知市から20kmほど西に位置する佐川町、博士の生誕地として有名な場所です。

今ごろ、博士のお墓のある裏山にはキンポウゲ科のバイカオウレン (Coptis quinquefolia)が白い花をさかせ、博士を喜ばせているでしょう。また地元では「バイカオウレン花祭り」が催されています。日本特産で東北地方~中国地方西部の山地や林床、そして四国ではシコクバイカオウレン(Coptis quinquefolia var. shikokumontana)が自生しています。花柱が曲がり花の蜜腺の先がコップ状になっているだけの僅かな違いですが変種として扱われています。今、咲くやこの花館の高山植物室でも開花しています。有名ですが、小さな花に驚かれるかも知れません。咲くやこの花館でも「阪神間の牧野富太郎博士の足跡と影響展」を3月1日から高山植物室周辺で開催予定です。

牧野富太郎博士好みのバイカオウレンが開花。・・・「阪神間の牧野富太郎博士の足跡と影響展」も

節分と言えば・・・・

今年もキンポウゲ科のセツブンソウ (Shibateranthis pinnatifidaEranthis pinntifida) の季節がやってきました。カタクリなどと同様に、冬から春に花を咲かせたかと思うと、1,2ケ月後には葉が黄色くなり地上から姿を消してしまいます。このような植物をスプリングエフェメラル(春のカゲロウ)と呼び親しまれています。関東地方より西に分布するこの山野草は他の植物が嫌う石灰岩地、墓場、田んぼの縁などでも見かけます。よく種子が実りますが、種子にはエライオソーム(種枕)という付属物がつきます。それは脂肪酸や糖分などで蟻を引き付けます。蟻は餌にするために運搬、種子を拡散します。1年目は一枚葉で、親株と全く違う姿で発芽してきます。3年程度で花をつけます。韓国にはセツブンソウより通常は花が大きいヒナマツリ(韓国セツブンソウ)と呼ばれるShibateranthis byunsanensisが分布、こちらも山草愛好家には人気があります。

高山植物室で節分頃に開花するセツブンソウ

ツルコケモモ(Vaccinium oxycoccos)はアメリカで有名なクランベリー

北半球の冷涼な湿地に自生するツツジ科のクランベリー(craneberry)は、北米ではジュースや七面鳥の丸焼き用クランベリーソースなどで親しまれています。日本ではツルコケモモと呼ばれ、北海道、本州の中部地方以北に分布し、高層湿原ではミズゴケ類と一緒に育ちます。チョコレートにコーテイングされた菓子も見られます。北米での収穫方は、秋に果実が熟すと、ツルコケモモの畑に20cmほど水を張り、果実を浮かします。浮いたものを集めての収穫ですが、カナダのブリティッシュコロンビアの一地区だけで17000トンもの収穫があります。山野草として栽培がされるツルコケモモ、その独特の採取法と言い、その収穫量と言い想像を絶するものがあります。高山植物室の日本区、アメリカ区で展示中。

花は淡ピンク、赤い果実は直径15mmほど、栽培地では水を張り、採取の手間を省くため果実を浮かせて切り離し、浮いた果実を集めます。。
クランベリーの収穫(ニュージャージー州)Wikipedia
クランベリーチョコ 

早くもヒスイカズラが             「所さんの目がテン!」で咲くやこの花館の植物の進化や栽培についてを紹介

通常3月以降開花のマメ科のヒスイカズラ(Strongylodon macrobotrys )ですが、今年は少数ですが早くも熱帯花木室で開花が始まりました。ヒスイカズラはフィリピンのルソン島、ミンドロ島、カタンドゥアネス島の雨林や小川のそばなどの樹木に絡みつきます。森林の伐採により自生のものは全滅寸前です。花の直径約6cm、総状花序は3mになることもあります。翡翠色はコウモリ向き、蜜を貰うために花にぶら下がると雄しべ、雌しべがあらわれ、その際に花粉がオオコウモリの頭につき、遺伝子の違う株の花粉を運びます。共進化の分かりやすい例です。ただ同一株による人工授粉による自家受粉でも一応果実はなり、果実は長さ12cm、種子は8個はいっていました。読売テレビにて2月26日(日)10:55~所さんの目がテン!「植物園」

 

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