ヒビスクス・インスラリス

「世界で最も貴重な植物」と言われたハイビスカスが咲き続けています。

学名
Hibiscus insularis
科目
アオイ科
展示室
熱帯花木室
季節
冬の植物

1990年、鶴見緑地での花博の際、オーストラリア政府による国際庭園出展用として飛行機2機分の植物が日本に向かいました。その中には32株の土つきのグラスツリー、鉄のように重い木生シダのディクソニア、そしてこのハイビスカスなど300種1万株のオーストラリアの野生植物が含まれていました。貴重なハイビスカスは学名をヒビスクス・インスラリス(Hibiscus insularis)といいます。(ハイビスカスは英語の発音で、学名はラテン語でローマ字読みとなり「ヒビスクス」になります。種名「インスラリス」は「島に生じる」の意味です。)オーストラリアの2ケ所の自生地ノーフォーク島では持ち込まれたブタ、ヤギ、ウサギの食害で全滅、6km余り離れたフィリップ島に僅かに残り、シドニー、キャンベラ、メルボルンの各植物園で「世界で最も貴重な植物」「絶滅の危機がある植物」のひとつとして救済のための栽培が始まりました。ノーフォーク島では他にもアブティロン・ジュリアナエなども食害にあいました。そこで1980年代にブタ、ヤギを捕獲後島外へ、ウサギは罠や毒で、最後はウサギが伝染病で粘液腫になるようにウイルスまで用いて1988年に全滅をさせて自生地再現への努力をしたそうです。フィリップ島では50株ほどが育っているそうですが、インベーダーのアフリカンオリーブが繁茂して水や養分を奪い、2種の蛾の幼虫が種子を食すなど際限ない保護活動を必要としています。

 当館では花博終了時にオーストラリア政府よりインスラリスを頂き、これが1995年1月に日本で初めて開花しました。少しだけ採れた種子が1995年5月に播かれ、2014年1月に二代目が開花しました。20年近くを要し葉が幼葉から少し成葉になりかけたところでした。1995年以来毎年咲いている成葉だけの株と花が少し違います。幼葉が主の若い株の花は薄黄色で中心部の臙脂色が僅かで、花弁が最初反り返ります。ユーカリ、ボトルツリーなどオーストラリアの樹木は日本のカクレミノのように幼葉、成葉と成長すると葉の形が変わります。これは最初先祖に近い形の葉が、後に進化した形の葉に変わるのではないかと言われています。グロエンエベルド氏は「インスラリスが成葉になるには20年はかかり、成葉になるまで花が咲かない。」という情報を流されています。今回約20年で咲いたのは納得がいきます。そして若い株がどのように変化していくかが楽しみです。実はインスラリスと思われる株を大阪市立大学理学部附属植物園より当館に譲りうけていました。現在当園では定年前市大の植物園で熱帯花木を熱心に管理していた松井努技術員がハイビスカスの栽培にも力を注いでいますが、「今から40年前に種子から育てたものだろう」との事、市大植物園の故立花吉茂先生が世界の野生ハイビスカスの研究をされていたから入手されていても不思議ではないが、貴重な植物が複数箇所から導入とは有り難い話です。こちらの株は40年を経ても咲いていません。大切な導入植物の記録は行っていますが、当館がオープンする前の話の事、今は絶滅したノーフォーク島のものの可能性もあります。また、インスラリスは開花一日目に雄花状態、二日目は雌花状態になり、鳥により他花受粉をするようなタイプのものが絶滅し、今は自家受粉できるものになっているそうです。ひょっとすると若い株の花は幼葉も残り絶滅した先祖型の性質を持つのではとも考えられます。当館にはこのようにクエッションマークのある植物も導入されています。インスラリスは危険分散も兼ねて各地の植物園にお譲りしてきました。沖縄では店先に並んでいることもあるそうで少しは安心です。

(土つきのグラスツリーは植物防疫上認められませんが、花博時の特例として灌水時に鉢から流れ出た水を全て集め、沸騰させ処理されていました。また花博終了時には咲くやこの花館のバックヤードにあった植物防疫所出張所で土を完全に落とし検査合格となり各地の植物園などに配られました。)

Hibiscus insularis is the endangered plant in Australia. Plants in Norfork Island was extinguished by the introduced animals such as rabbits,pigs and goats.In Phillip Island few plants survive. Botanic gardens in Melbourne, Sydney and Canberra propagated this hibiscus for transplanting in Norfork Island. In 1990 Expo was held here in Tsurumi Ryokuchi and this hibiscus was introduced as one of the Australian exhibition plants.

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画像/咲くやこの花館
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