館長のきまぐれ日記

はじめまして

2021.08.03

皆さんはじめまして

 30年に渡って咲くやこの花館を運営してきました久山前館長に代わり、この4月に新しく館長になりました城山と申します。久山館長には引き続き名誉館長として関わっていただきますので、ご安心ください。

 植物園に勤めるのは8年半ぶりで、ちょっと懐かしい気もします。これまでは京都府立植物園に9年、草津市立水生植物公園に15年半在籍し、その後兵庫県立大学大学院で5年間教員をしていました。植物は主に屋外の一年草や宿根草、水生植物に携わってきました。

 咲くやこの花館は、熱帯から極地までの広範囲の植物を温室や冷室で展示するという日本でも珍しい植物園です。これまで、紫外線を浴びながら屋外で仕事をしてきた私には、館長の依頼はちょっと意外なものでしたが、植物園は好きな場所ですので、深く考えずにお引き受けすることにしました。が、日本を代表する植物園です、大変なところに来てしまった気もします。ですが、自分にできることを一つずつ実施して責任を果たしていきたいと思いますので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。

ムジナモについて

 ところで、「総合案内」の館長挨拶のページに用いている写真は、ムジナモという日本に分布する水生の食中植物の植物画です。浮遊植物と言って根がなく水中に漂っている不思議な植物です。日本の野生では絶滅したとされている貴重な植物です。花の大きさは直径5㎜程度という大変小さなもので、そのままでは小さく描けないので、カメラで拡大写真をとり、それを描いたもので、実物の10倍の大きさにしています。ムジナモは牧野富太郎博士により発見され、命名された植物です。博士は発見した翌年にこの植物の花の精密な写生図を発表します。日本では開花するのですが、ヨーロッパでは開花しないそうで、一躍海外の注目を集めることとなったそうです。この図を拝見したことがあるのですが、大変明確かつ正確な絵であり、その能力の高さに改めて感心させられました。私の植物画はまだまだ修行中で足元にも及びません。

 ムジナモは難しい栽培技術が色々と伝えられているのですが、私はアサザという水生植物と一緒に育てていると上手く育って、たくさんの花を咲かせてくれました。実はこの時に思わぬ発見がありました(2017年6月のことです)。これに関して、youtubeにまとめましたので、こちらをごらんください。咲くやこの花館では、7月3日から9月26日まで虫を食べる植物展を開催しています。ウツボカズラやハエトリグサなど興味深い食虫植物が数多く展示されています(初めの大きな写真です)が、このムジナモも出演しています。展示場の日射量が少ないので、時々植物を交代させていますが、生育状況によっては途中で退出するかもしれません。写真は7月22日に咲くやこの花館で咲いたムジナモの花。

2021年7月22日12時ころ咲くやこの花館でムジナモが開花しました。
ムジナモの花は小さく直径5mmほどです。こちらの写真は2017年に撮ったものです。

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